- Persia -
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Portraying the lands is a central theme through my photography.
In this series, I am capturing the real life of Iran. Though the Japanese media has taught us Iran as an ‘evil’ and ‘fanatic’ country, what I found on my first trip was quite different from my prejudiced view. There were the Grand Bazaar full of the stalls selling gorgeous carpets or beautiful relics, the grandiose mosaic architecture, most importantly, a lot of gentle and pure-hearted people. The ‘real’ Iran truly impressed me that I started to visit there frequently.
I’ve met a lot of good people and got closer to some of them as friends, which awakened me that they are having the life exactly as we do – embracing the traditions, wishing for happy family life, and simply having fun with friends.
I hope that my body of work serves as a window for a wider audience, allowing them to gain a glimpse of the Iran’s real life and find more similarity between us. By doing so, I believe that we would be able to get along better.
My ultimate goal is that the earth is always filled with smiles and love so that we can walk hand-in-hand toward happiness.
Taiga Koyama
JP
「絨毯工房の写真を撮りに、一緒にイランに行かないか」
知人からの依頼を受け、私はイランへと旅立った。当時の私には、イスラムの国という程度の認識しかない国だった。いったいイスラムの国でどんな写真が撮れるというのか。雪雲に覆われたテヘランに降り立った時、未知の国に辿り着いた喜びと、これから出逢うイスラムへの不安が綯い交ぜに私の中でぐるぐると渦を巻いていた。
そんな私の心象は、グランドバザールに足を入れた瞬間に一変した。そこには、幼い頃に夢中で読んだ『千夜一夜物語』の世界が現実として存在していた。
「あれ、ひょっとして凄い場所に出会っている?」
そんな私の予感は、古都エスファハンに飛んだ時、確信に変わった。かつて、サファーヴィー朝ペルシアの首都として、アッバース大帝のもと、「世界の半分」と謳われたその街は、今も美しさで満ちていた。色鮮やかなタイル、そこに描かれている繊細な模様、それらを緻密に組上げ飾られているモスク。その威風堂々とした佇まいは、古よりの讃歌を余すことなく今に伝えていた。
有史以来、東西文明の十字路として幾千の旅人達を迎え入れてきた人々は、現代にあっても単なる異邦人の私を暖かく迎え入れ、旅人として友として遇してくれた。
ある街の廟で出会った女性は、「あなたの旅が良きものである様に」と、詩を詠んでくれた。
遊牧民という言葉に惹かれて会いにいったカシュガイ族の野営地には、胸を締め付けられる優しさと懐かしさがあった。
彼の地の写真家は、「この国で一番美しい場所なんだ」と言って、砂漠へと誘ってくれた。
知り合ったひとりの女性は、暖かく優しい微笑みをくれた。
いくつもの出会いが積み重なり、いつしか、イランは私にとってとても大切な場所になっていた。
私が、そこで出会ったのは、この国で『イラン』という響きから連想される、核や狂信的なイスラム国家として語られる遠い国ではなかった。伝統を受け継ぎ伝え、家族の幸せを願い、友人と共に豊かな時間を過ごす。私たちと変わらない人々とその暮らしだった。
彼の地が、
そして、この星の全てが、いつも笑顔で歩める様に。
小山 泰雅